…本当の あなたを発見するための針路図 ⑤ pp.44~46

☆･･･ 外側の層だけで生きている限り、いいこと/悪いことの両方を引き寄せる

　多くの人は、表層にある「身体や人格＝自分」だと思って生きています。
だからこそ 物質的に満たされることに 人生の喜びを求めてしまうのですが、今､「意識の多重構造マップ(コンシャスネスマップ)」の存在を 知ったあなたなら、そうした生き方は「外側の層」だけで 生きているにすぎない、いささか偏った人生であることが おわかりになったはずです。

　外側の物質的な世界は､「二元性の原理」に 支配されています。

つまり、いいこともあれば 悪いこともある、というのが 外側の世界の 原理原則なのです。

　ですから、もしあなたが 外側のサークルから「ポジティブで いいこと」を引き寄せた場合は、それとのバランスから「ネガティブで 悪いこと」も 引き寄せてしまうことに なりがちです。

　外側から引き寄せたものが、あなたの人生に不安と 混乱を与えるのは このためです。
例えば、せっかくマイホームを 手に入れたのに、リーマンショックなどが 起こって手放さなければならなくなる､というようなことがよく起こります。

　対して 精神的な世界は、内に行けば 行くほど、すべてが 一元化していきます。
そして 内側の世界の 中心は「空」(ｸｳ)です。

仏陀は 人生の苦しみ､すなわち 生と 死の苦しみ、若くても 老いる苦しみ、健康でも 病気になる苦しみ など、人生で起こる 二元的な苦しみを 解脱して悟りを得ました。

そのときの境地を 禅では「無」とか「空」(ｸｳ)というふうに表現しています。
空(ｸｳ)の世界は とても静寂で、平安や 光に満たされています。

　なおかつ空(ｸｳ)は、すべての 命の源でもあります。
近年、量子物理学や 宇宙物理学で 明らかにされつつある理論によれば、空(ｸｳ)は ゼロポイントフィールド、あるいは絶対真空とも 呼ばれるもので、一見何もない空間に見えて、じつは そこから すべてが生じた空間でもあるのです(『フィールド響き合う生命･意識･宇宙』リン･マクタガート（著) 河出書房新社 )。

　ですから、この空(ｸｳ)の中にこそ すべてがあり、仏陀の教えの心髄と言われている般若心経にある「色即是空､空即是色」という教えは、空(ｸｳ)の性質を 如実に物語っていることになります。

　空(ｸｳ)という見地から 見れば､「色＝物質」もまた 全体の中の 一部分にすぎず、人間は この内なる空(ｸｳ)から 意識を広げ、本質、才能や 強み、感情、そして思考や 肉体という外側の世界までを 併せ持った “丸ごとひとつ” の存在である と考えることができます。

　そして、自分が 本当に求めているもの、望んでいるものは、外側だけにあるものではなく、その多くが 自分の内側にある ということに、まず気づくべきでしょう。

　人は 愛されたいと望むものですが、愛は 家族や恋人から 与えられるべきものではなく、本当の愛は 自分の内側にこそあるのです。

このことに 気づいていただくことが、この本を著した目的のひとつでもあります。

(悟りのシンクロニシティ．リーラ･ラブガーデン．プラサード･デイビット･ワンドレス．アルヴィナ･ワンドレス 2013．市場義人 訳者)pp.44－46